とある有名になった若手女優さん。
上京したのは七年前。
スカウトされ芸能界に入ったものの高校はバイト禁止。
続けるか、退学か。彼女は退学を選んだ。
中受して、高校では7クラス中1クラスしかないコースに進み、それを1年でやめるのだから風当たりも強い。女しかいないのだからそれは尚。
私が三年の時、母校に遊びに来ていた彼女を見て聞こえてくる言葉。
『東京から逃げてきたんか。ようすぐに帰って来れるわ。一本出て後は鳴か飛ばず。スカウトされたからって浮かれてたんちゃうか』
今思うと受験生の鬱憤晴らしと嫉妬から来た言葉だろう。
だが、一年後輩に、学校を出てからもまで言われるのだから、同学年の人には何を言われたのだろうと思うのと同時に浮かぶのは、あの人の左に立つ人。
彼も陰で何を言われてきたのだろうか。
今も彼女をTVで見るたびに、デビュー当時のまだあどけない彼の顔が浮かぶ。
次に彼女を見たのはバラエティーにドラマの番宣Vが流れた時。
ベタラン芸人さんが会いたいと言っているのを聞いて素直に、生きていたかと思った。
そこに至るまでどれほどの力が要っただろうか。
そんな言葉を投げかけられた母校で彼女がCMを撮る。今回掛けられた言葉は「こんにちは」
芸能界の荒海をしっかりと泳ぎ切ってこれからも生きていて欲しいと願う。
彼女も彼もその相方も。

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